「地元食材を使っています」という説明は、今や多くの宿泊施設が使う言葉になりました。ただ、実際に何をどこから仕入れているか、どう調理しているかを具体的に説明している施設は多くありません。ここでは、Drift Vista Plainのシェフ・田中 麻衣が、食材の選び方と調理の考え方について説明します。
週2回の仕入れと、その日のメニューの決め方 ¶
食材は毎週火曜日と金曜日に、安曇野市の大塚農園と木下山菜農場から届きます。届いた食材を確認してから、その週の夕食メニューを最終決定します。事前に大まかな構成は決めていますが、食材の状態によって変更することがあります。例えば、山ウドの茎が細い週は白和えではなく天ぷらにする、といった判断をその場でします。
出汁へのこだわりと、その理由 ¶
出汁は毎朝引いています。昆布は北海道羅臼産の真昆布、鰹節は鹿児島県枕崎産の本枯れ節を使っています。この2つの産地にこだわっているのは、それぞれ旨味の質が異なるからです。羅臼昆布はグルタミン酸が豊富で、深みのある出汁が取れます。枕崎の本枯れ節はイノシン酸が強く、合わせることで相乗効果が生まれます。パックの出汁を使わない理由は、単純に味が違うからです。
山菜の扱い方:収穫から48時間以内の原則 ¶
山菜は鮮度が落ちるのが早く、収穫から時間が経つほどアクが強くなります。木下山菜農場とは、収穫日を事前に共有してもらう取り決めをしています。届いた山菜は当日か翌日中に使い切ることを原則にしています。余った場合は、スタッフの賄い食に使います。廃棄はほとんど出ません。
季節ごとのメニュー構成の変化 ¶
春は山菜中心、夏は夏野菜と川魚、秋は松茸と根菜、冬は根菜と保存食を活かした構成になります。同じ「会席料理8品」でも、季節によって使う食材も調理法も変わります。特に秋の松茸シーズンは、土瓶蒸しと松茸ご飯を必ず入れます。松茸は松本市内の山林を管理している方から直接仕入れており、産地は毎年同じです。
食事は、滞在の記憶に残りやすい部分です。素材の産地と調理の考え方を知っていると、食べるときの感じ方が少し変わるかもしれません。ご興味があれば、夕食時にシェフに直接聞いていただくこともできます。